November 25, 2005
◆ 扶養能力
これは10月に決裁された案件。
不許可の見込みで申請し、予想どおりだった。
平成2年大臣告示に言う「未成年で未婚の実子」=いわゆる連れ子=で定住者の在留資格に該当するも、内規があるらしく、本人の年齢が15歳を超えていると、ほぼ出ないことになっている。
「未成年で未婚の実子」とは、多くが外国人配偶者の実子である。
外国人配偶者の在留資格は、日配、永住、定住になる。
この事案それそのものは、日配くずれ定住の実子で18歳(申請時17歳)、短期からの変更と、ますますシビアだ。
申請後3ヶ月、入管の出張所長が電話を掛けてきて、「扶養能力に問題があり、許可できない」と言った。
結果は予想どおりであるが、事前情報では取次に連絡せず、本人宛に書留葉書を出して呼び出すとされていた。それが取次に電話の上、普通葉書を送ってきた。
「大変お手数だが、本人+書士 or 本人+母で今週中においでになるようお願いしたい」と言う。なかなか丁寧だ。
入管へ行くと個室で面談。
不許可通知書の交付、変更願い等々その場で書類を何枚か書き、特定活動(出国準備)3ヶ月の在留資格に変更。約3週間後の出国を約束させられた。
その場で所長が言ったのは、
「17,8歳の申請がすごく増えた。これでは家族同居か働きに来るのか分からない」とのご解説。
「扶養能力」を問題にした。つまり、扶養者である親の社会的地位や収入が不安定で、被扶養者のはずの子供が働くのではないか、ということだ。(所長は親が永住だと少し違いそうな口ぶり)
これが、良いところのお坊ちゃんなら、働くはずもなく遊んでいるから許可する(かもしれない)ということだ。定住告示は一つの基準例に過ぎないので、20歳を過ぎていてもお坊ちゃんなら出るという情報もある。
要するに、
「ガイジンは、遊んでいる分には良いが働くのはいけない」
ということだ。これが日本の入管行政の姿。
遊興=良
就労=悪
という信じられない倫理観が我が国の諸外国に対する態度なのである。
では、短期滞在で来日して帰国後、どのくらい経過すれば次の短期を申請できるのか?
これも、所長が答えてくれた。
6ヶ月から1年経過でないと難しいとのこと(もっとも入管の担当ではない)。
外国人配偶者の実親でも同じだそうだ。幼児扶養のような人道的な理由があれば別だそうだが。
もう1点入管行政の矛盾を書くと、
所長が、ご本人はどういうご希望なのだろうか?と聞くので、
「母親と一緒に暮らしたいだけですよ」
と言ってきた。
少年の気持ちに加え、いま単純に就労しようというわけではないという意味も含む。
「家族滞在」という在留資格がある。
例えば、人・国で在留している通訳の子供はこれに当たる。
この場合の子供は、成年でも養子でも良いが、原則的に就労できない。
人・国が10年たって永住になると、その子供は、家族滞在を取れなくなってしまう。この場合は、定住を取ることになるが、就労できる在留資格のため審査は辛い。
要するに、日配、永住、定住の子供が、家族滞在を取れない在留資格の枠組みがおかしいのである。
この件も、家族滞在(=就労できない)が申請できれば、可能性はだいぶ高かったのだ。
不許可理由書には、「やむを得ない特別の事情があるとは認められない」とある。短期からの変更だから表向きの理由として使える。
これが、認定案件だと「定住者の在留資格に該当するとは認められない」と来る。
「18歳で学生。働きに来るんじゃない。日本語学校に入る」と、入学許可証を添付しても駄目だった例がある。
これも扶養者である養父の扶養能力が問われていた。
不許可予定で予想どおり。
ではどうして申請したかというと、年齢が高くなるほど確率が低くなるということ。
だから申請は早いほど良い。
一度帰って認定を出しても、まずは通る見込みは少ないこと。
短期で来られたんだから、日本にいるというチャンスは生かしたほうが良い(外国にいたのでは訴訟でひっくり返る可能性はとても低い)。
嫁は、やっぱり不許可に可哀想がっていた。
親子を引き裂く入管行政。
所長も口では同情の言葉を出していた。
でもあの所長と喧嘩しようという気は起きなかった。どうしてかと言うと、表向きの理由ではなくて本音で語ってくれたから。
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category : しごと
Posted by yshimada at 2005.11.25 (Friday) 02:22 PM
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非常に考えさせられる問題ですネ。(今のところ私自身にも業務としても該当しませんけど)
Posted by 朝太郎 : November 26, 2005 03:38 PM
朝太郎さん、コメントありがとうございます。
日本の民法にしても、親権者には居所指定権があるのです。
外国人の親権者が外国人の未成年者に日本に住めと指定したら、住まなきゃいけないんじゃないか、なんて。
入管法が他の法令よりも優先する理屈は?なんて考えます。
Posted by yshimada : November 27, 2005 12:07 PM
川崎出張所で、フィリッピン人女性が実子(18歳)を呼び寄せるための相談をしていましたが(2003年7月末)、「フィリッピン法では18歳は成年であり、単純に呼ぶことはできない。本人に相当たる能力があり、それに準じた就労が日本でできるようならば、別途就労が可能な資格を申請しなさい」と諭していました。その女性の在留資格を確認したわけではありませんが、上記のような指導をしているのを耳にしました。何となく「そうなのかぁ」と思ったことを記憶しています。
Posted by む : November 28, 2005 02:15 PM
「む」さん、毎度どうも。
実親が日本の長期滞在者なら、その扶養すべき子はやはり日本で生活するのが筋だと思っています。
実親が実子を手元において扶養しないなんて、ちょっと角度を変えれば、反社会的反倫理的だと非難されそうです。そうさせているのは日本の入管なのですから、国際的非難を浴びるべきじゃないんでしょうか。
Posted by yshimada : November 28, 2005 03:12 PM